研究概要 |
ラット大腿骨に作成した横骨折を仮骨モデルとしてその骨癒合経過を3点曲げ力学試験により追跡した.仮骨の力学的特性を非侵襲的方法にモニタリングする検査法としての可能性を1)局所的骨密度測定,2)超音波検査,3)Acoustic emission(AE)検査の3つについて検討した.peripheral quantitative computed tomography(pQCT)法で測定した仮骨領域の骨密度パラメータのうち,total BMC・total BMD・corical BMC・cortical BMD・polar SSIは仮骨の曲げ強度と有意な正の相関を示した.変数選択重回帰分析の結果ではpolar SSIとcortical BMDの2つのパラメータが仮骨の曲げ強度推定に有用であり,重相関係数は0.68であった.超音波検査法では骨折断端部が測定領域と近接するため仮骨のみの定量的評価自体が困難であったが,仮骨による架橋形成は定性的には評価可能であった.AE検査法では,力学試験中にAE信号が測定されはじめる荷重量(降伏強度)が仮骨の曲げ強度と極めて高い正の一次相関を示した(相関係数0.96).目的変量である仮骨強度を非侵襲検査法の各種パラメータを説明変量として定義する場合,降伏強度と仮骨強度の相関が他のパラメータに比べて極めて強いため実用的にはAE検査法のみで十分という結果を得た.骨密度測定・超音波検査法は補助診断法として,特にAE検査を開始する時期の決定に有用であると考える.これらの結果を踏まえて,創外固定法による仮骨延長症例に対して創外固定器の抜釘時期(延長仮骨の骨化完成時期)を評価した.AE法により測定した降伏強度は原疾患の種類に関わらず術後の経過日数とともに有意に増加し骨癒合モニタリング法としての実用性が確認できた.
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