研究課題/領域番号 |
12832047
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研究機関 | 東北文化学園大学 |
研究代表者 |
星 文彦 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 教授 (40165535)
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研究分担者 |
武田 涼子 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 助手 (10316432)
藤澤 宏幸 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 助教授 (20316425)
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キーワード | 高齢者 / 片足たち動作 / 体幹傾斜 / 予測的姿勢制御 |
研究概要 |
平成13年度は、昨年に引き続き健康高齢者11名を対象に、片足たち動作の動作開始から離床までの身体重心側方移動期の筋活動と姿勢変化及び床反力について解析を行った。結果は、高齢者は健康青年に認められた挙上側中殿筋の活動が消失し、姿勢変化も離床時期に支持側へ有意に体幹を傾けることが明らかになった。骨盤を支持側へ移動させずに体幹を傾斜させ重心を支持側へ移動させる方法は、挙上側下肢の床反力側方分力と身体重心位置(COG)の移動範囲が健康青年に比べ有意に低下することからも裏付けられた。次にこれらのことから、高齢者の片足たち動作の特徴として、動作開始から離床期にかけて体幹を支持側へ傾斜させることに着目し、この動作戦略と立位バランスおよび移動能力、柔軟性など身体機能との関連性を明らかにするために、福島県須賀川市で実施された高齢者の健康と転倒に関する検診に参加した高齢者、74名(男性36名、女性38名)を対象に、片足たち動作における離床期体幹傾斜角度を2次元動作解析システム(ローカス2D、アニマ社)を用いて計測し、同時に身体計測と運動機能の測定を行いそれらの関連性について検討した。体幹傾斜角度は片足たち保持時間と体幹の柔軟性に有意に相関し、一方片足たち保持時間と年齢、10m最大歩行時間、歩数、Time Up-Go testは有意に逆相関を示した。なお、過去1年間の転倒経験者(1回)と非転倒経験者では、体幹傾斜角度および運動機能には関連性が認められなかった。これらのことから、高齢者は片足たち動作の動作開始戦略として体幹を支持側へ傾ける方法を取ることで片足たち動作課題に適応していることが示唆された。また、高齢者の動的立位バランス機能評価の視点として、動作開始に伴う重心移動、いわゆる予測姿勢制御に着目する必要性が示唆された。
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