研究課題/領域番号 |
12832049
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
牧田 茂 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (40316708)
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研究分担者 |
間嶋 満 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70165702)
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キーワード | 冠動脈バイパス術後 / インスリン抵抗性 / 運動療法 / 嫌気性代謝閾値 / リハビリテーション / 身体活動量 / 自律神経活動 |
研究概要 |
昨年に引き続き冠動脈バイパス術(CABG)後患者において、運動療法を主体とした包括的心臓リハビリテーション(心リハ)によるインスリン抵抗性改善効果について検討した。本年度の対象は16名(平均年齢62.4±7.8才)の男性患者である。対象は術後病棟内歩行可能となった時点に心肺運動負荷試験(CPX)と75gOGTTを実施した。その後AT(anaerobic threshold)レベルの有酸素トレーニングを一回15〜30分間一日2回、14.7±5.6日間実施した。トレーニング終了時には同様のCPXと75gOGTTを行いトレーニング前後について比較した。PeakVO2は13.7±2.3から14.8±2.9ml/min/kgと有意に増加したが(p<0.01)、ATは9.6±1.9から9.4±1.2ml/min/kgと増加が認められなかった。また脂質代謝においては有意な改善は認められなかったが、120分値のグルコース濃度(BS120')の改善が認められた。回復期までフォローできた患者については120分値のインスリン濃度(IRI120')ならびにBS120'が改善した。IRI120'が65μU/ml以上の高インスリン血症と判定された者が5名おり、そうでない患者と比べ明らかに若年であった(55.0±3.9 vs 65.8±6.7才:p<0.01)。 次に日常活動中の自律神経活動を反映する指標として24時間の平均心拍数(HR)に着目し、心リハ中の身体活動量との関連性を検討した。上記患者のうち6名を対象に身体活動量をアクティブトレーサーAC301(ACT : GMS社)を用いて測定し、上下、左右、前後方向の総合ベクトルの24時間平均値(ACT平均値)を求めた。また同時に24時間の心拍データを記録し、心拍データ解析ソフトMemCalcシステム(諏訪トラスト社)にて平均RR間隔(RR)を求めた。その結果、ACT測定値は心リハ前後で増加傾向を認め、(50.2±41.7→70.1±31.2G)、平均RR間隔(RR)は有意な延長を認めた(679.8±64.1→775.1±58.9ms : p<0.01)。ACT測定値の心リハ前後の変化量とRRの変化量との間に有意な正相関を認めた(r=0.884:p<0.05)。以上よりCABG後患者において心リハ中の身体活動の増加はRRの延長と関連していることが示唆された。
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