昨年度行った研究結果を基にWWWを利用した障害音声の聴覚印象評価訓練プログラムを一般公開し、音声治療専門家に使用してもらうと共に訓練効果の検討を行った。さらに、聴覚印象評価訓練プログラムに使用する障害音声データベースを充実させると共に、より訓練効果向上が期待できる訓練プログラムの検討および、開発を行った。具体的には、以下の項目について研究を進めた。 1)昨年度の研究で定めた障害音声選定基準に基づき、様々な種類・程度の障害音声の集録および、聴覚印象評価に熟練した音声治療専門家による聴覚印象評価を行い、障害音声データベースに追加登録した。この結果、障害音声データベースに登録された音声数は、合計156音声となった。 2)WWWを利用した障害音声の聴覚印象評価訓練プログラムによる聴覚印象評価訓練効果を詳細に検討した結果、聴覚印象評価項目のうち、無力性と努力性に関する評価項目が他の評価項目に比べ、訓練効果の向上が鈍いことが分かった。この結果を基に、より訓練効果向上が期待できる訓練プログラムの検討・開発を行った。具体的には、昨年度開発を行ったプロトタイプの訓練プログラムにグラフを用いた訓練結果の視覚化機能、専門家の評価結果を参照しながら問題音声を何度も聞き、訓練者の評価基準を修正する機能、他の訓練者との訓練結果比較機能などの追加を行った。 3)聴覚印象評価初心者10名を対象に改良を加えた聴覚印象評価訓練プログラムの訓練効果にっいて検討したところ、昨年度プロトタイプとして開発した訓練プログラムと比較してさらに良い訓練効果が得られることを確認した。このことから、本研究で開発した聴覚印象評価訓練・学習プログラムが聴覚印象評価の学習に有効であることが示された。さらに、3月中旬より改良した訓練プログラムの一般公開を開始した。現在、51名が本プログラムにより聴覚印象評価訓練を行っている。
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