喉頭疾患に起因する音声障害を評価するための効果的な音節、単語、文などの選定を行い、これに基づき音声障害データとこれに対応した声帯振動画像を集録した。さらに、収録した全ての音声障害データの聴覚印象評価を音声治療・訓練専門家の協力を得て行い、これらのデータを基に障害音声データベースを構築した。 つぎに、構築した障害音声データベースを利用して聴覚印象評価訓練・学習プログラムを作成し、WWWを利用して一般に公開するとともに、聴覚印象評価訓練・学習プログラムの有効性や効果的な訓練方法などについての検討を行った。検討結果より、本研究で開発し障害音声データベースや聴覚印象評価訓練学習プログラムが音声障害の評価や適切な音声治療を行うための有効な基礎的資料となることを示した。具体的な内容および結果は、以下の通りである。 1)音声障害を評価するための効果的な音節、単語、文などの選定を行い、これに基づき様々な種類の障害音声とこれに対応した声帯振動の様子の集録を行い、集録した全ての障害音声の聴覚印象評価を音声治療専門家の協力により行なった。 2)集録を行った音声障害データと聴覚印象評価値を基に障害音声データベースを構築した。さらに、障害音声データベースを利用した聴覚印象評価訓練・学習プログラムを作成し、その効果や効果的な訓練方法や改良点について検討を行った。 3)効果的な訓練方法や改良点についての検討結果を基に改良を加えた聴覚印象評価訓練・学習プログラムをWWWを利用して一般公開するとともに、訓練の効果について詳細に検討したところ、訓練・学習回数を重ねる毎に訓練者の聴覚印象評価値が音声治療熟練者の行った評価値に近づいて行く傾向が明確に観測された。このことから、本研究で開発した障害音声データベースや聴覚印象評価訓練・学習プログラムが聴覚印象評価の学習に有効であることが確認された。
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