視覚障害者の単独歩行を支援する装置として、障害者を目的地まで道案内するための装置の開発研究を行った。障害者を案内するためには障害者がいる位置を正確に把握する必要があるが、ここではこの位置把握のためにDGPSを利用した屋外用の誘導装置、および赤外線標識を利用した屋内用誘導装置を試作した。屋内における道案内では更に床に誘導経路に沿って貼った色テープを識別するための色センサを持った白杖を開発した。 DGPSを用いた誘導装置は、利用者の位置を計測するDGPS、DGPSが使用できない際に位置を推定する自立測位装置、およびこれらからの情報に基づき音声で位置案内を行うノート型コンピュータにより構成される。今年度は開発した誘導用ディジタル地図および音声データベースを用い、健常者を被験者とした屋外における誘導実験を行った。この結果道案内を行う音声の内容、行う場所等についての有用な情報が得られた。また測位結果を実際の道に当てはめるマップマッチングの精度を上げる必要のあることが分かり、現在そのプログラムを改良し評価を行っている。 赤外線標識を用いた誘導装置では利用者の位置を計測するために、屋内施設の天井等に取り付けた位置コードを発信する赤外線標識を利用する。視覚障害者が持った誘導装置はこの赤外線標識からの信号を受信することで障害者の位置を知り、目的地までの経路を音声で誘導する。この装置では、利用者の位置情報を得ることができるものの進行方向を特定できないこと、および手がかりの無い広い場所の誘導ができないことが問題であった。この問題を解決するため、誘導経路に沿って床に色テープを貼り、このテープの色を検出すると利用者にバイブレータの振動でこれを知らせる白杖を新たに開発した。この杖と上記赤外線標識を用い全盲状態にした健常者を対象とした実験を行ったところ良好な結果が得られた。現在認識できる色テープは緑と赤であるが、その数を増やすための開発を行っている。
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