研究概要 |
本年度の研究では,後肢懸垂法による長期の無荷重状態(HS)およびギブス固定法による関節固定状態(CAST)が筋メカノレセプターの刺激応答性にどのような影響を及ぼすかについて検討し,この応答性に深く関与すると考えられる筋の力学特性(特に粘弾性)について検討をした.こられの筋メカノレセプターの刺激応答性に変化が認められたので,筋メカノレセプターの形態に変化が現れるかについて組織学的な検討した.さらに他動運動による筋メカノレセプターと応答性の変化と筋の力学特性について検証した.1)HSモデル:筋萎縮を生じ,関節角度の変化に対して,筋メカノレセプターは過度の活動を示した.dynamic componentも減少すること認められ,筋の伸長張力は低下した.光学および走査型電子顕微鏡像は共に著変はなかったが,筋内膜のコラーゲン線維は,縦走するコラーゲン線維が多く観察された.これらの結果から,筋メカノレセプター自体の変化よりも筋メカノレセプターの取り巻く周辺組織の変化が大きく,その筋線維など機能変化が筋メカノレセプター活動に変化を及ぼしたのではないかと推察される.これらの機能変化に対しては,他動運動による筋メカノレセプターやpassive tensionの機能変化が確認されたことで,筋組織の機能改善を行うことができれば,筋メカノレセプター機能も改善される可能性が示唆された.2)CASTモデル:著明な萎縮を認め,著明な活動の増加が観察された.dynamic componentも消失し,筋の伸長張力は著明な増加を示した.筋内膜のコラーゲン線維網は横走するコラーゲン線維が多く観察された.光学顕微鏡では被膜の拡大,走査型電子顕微鏡の像では筋紡錘錘内筋の萎縮や結合組織性皮膜の肥厚化を観察した.この結果から,他動運動をおこなっても筋メカノレセプター機能が速やかに改善することは困難でないかと考えられる.
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