従来から種々の被検筋を用いて、等尺性収縮における筋疲労特性について筋電周波数パワースペクトル解析を用いて検討を重ねてきた。ほとんどの上腕筋は赤筋、白筋が混在する特性を持つために、その前段階として赤筋優位である脊柱起立筋を被検筋として検討を加えてきた。その結果、男女差において女性の耐久性が秀でており、さらには等尺性収縮の持続時間と筋電周波数減少率との間に有意な相関が認められた。また、同じ体幹筋である腹筋における持続性においては背筋とは違い、男性の方が秀でた結果となった。 上腕筋においては上腕二頭筋、上腕三頭筋を被検筋として、健常者を対象に身長や体重、上腕周径などを計測、KINCOMを用いて等尺性最大筋力を測定した。筋力測定では再現性や左右差など被検筋としてふさわしいか検討した。被検筋としてふさわしいと判断した被験者を対象として、Mega Electronics社製ME3000P筋電計を用い、最大等尺性収縮の50%の負荷を可能な限り持続させ筋電波形を導出した。中心周波数や平均パワー周波数の経時的変化で評価検討した。現在結果について検討中であるが、筋力と中心周波数、平均パワー周波数の減少率は全く相関しないことは体幹筋と同様であった。また、筋を一定の収縮力を持続させる能力(筋収縮力のぶれ)と周波数減少率は相関し、周波数減少率が低いものほど一定の持続力を保持する能力が高い傾向を示した。このことは、筋持久力の高いものほど筋巧緻性に秀でた特性を持つのではないかと考えている。現在、上腕筋について対象を増やしながら検討を重ねているところである。
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