研究概要 |
本年度は,「老人性難聴の自覚意識の評価法の開発」に関するパイロット・スタディとして.次のような研究を行った。 1.研究目的:老人性難聴の自覚意識と聴力について実態を調査する。 2.研究方法:1)老人性難聴の自覚意識調査のためのアンケートを作成:文献および自検例を参照し,高齢者の聴こえに関するアンンケート項目を考え,アンケートを作成する。2)アンケートおよび聴力検査の実施:50歳〜79歳の男女119名を対象に,アンケート(聴こえにくい方にはトランペット型補聴器を使用して話しかける)および純音聴力検査(リオンオージオメータAA-56および室内の騒音を測るためにリオン普通騒音計NL-04を使用)を実施し,老人性難聴の実態を把握する。 3.研究結果:1)アンケートの作成:10項目からなるアンケートを作成し,老人性難聴の自覚度や自覚率が算出できるように配慮した。2)アンケート結果:自覚率は50歳代群および60歳代群では30%前後であったのに比べ,70歳代群では60%と顕著に高かった。難聴の自覚意識を最も反映していたのは,雑音下での聞き取りに関する項目であった。3)純音聴力検査結果:男女ともに,加齢とともに聴力閾値の上昇がみられ,特に高周波数域で顕著であった。 4.考察:アンケート結果については,生活環境や難聴を認めたくないという心理,主観に基づく自己評価などの要因が関与していると思われた。聴力検査については,聴力の男女差は先行研究による結果程は認められなかった。今回の結果を基にして,13年度は評価法およびリハビリテーションについて取り組んで行きたい。
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