本研究は、在宅ケアの日常的・継続的支媛者(訪問看護婦や保健婦)や在宅介護支媛センターのスタッフがもつべき住宅改善(住宅改造・福祉用具)の支援技術について、その内容とそれを習得するための技術移転の方法を具体的に検討し、住宅改善支援の技術移転プログラムを開発することを目的としている。 1998年度より継続的に関わってきた北海道深川保健所管内において、保健所の市町村支援事業を住宅改善のスペシャリスト(建築技術者や理学療法士)が後方支援する体制をつくった。深川保健所管内の1市5町をフィールドとして、支援プログラムを試行しスペシャリストからジェネラリストへの技術移転を試み、その評価を行った。支援プログラムは、H町で98年より先行して実施し、99年以降は1市5町それぞれの状況に応じて(各市町のジェネラリストへのヒアリングによるニーズ調査を実施)、具体的事例の個別住宅改善の支援、施工者や住民向けの啓発、合同事例検討会による支援経験・技術の共有化のプログラムを実施した。 2001年度は、2町で「住宅改善を実現することを目的とするケーススタディ」(個別住宅改善の支援)を実施した。ニーズとディマンズの調整という支援段階において、ジェネラリストがスペシャリストの技術をどのように引き出すかという連携の具体的な謀題が浮上し、連携のための技術移転がなされた。また、このプログラムが一度に少数しか技術移転を受けられないので、それを補うべく支援経験や支援技術の共有化のために、合同の事例検討会を開催した。ここではスペシャリストからジェネラリストへの技術移転というより、同じ立場の支援者からの技術移転という点が強調されるべきことが明らかになった。
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