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2001 年度 実績報告書

尿中酵素NAGとSDS-PAGE電気泳動法による尿中蛋白分析の腎疾患への臨床応用 -ウシおよびネコ腎症モデルと自然発症例との比較-

研究課題

研究課題/領域番号 12833003
研究機関岩手大学

研究代表者

佐藤 れえ子  岩手大学, 農学部, 助教授 (80142892)

研究分担者 首藤 文栄  岩手大学, 農学部, 教授 (60001533)
内藤 善久  岩手大学, 農学部, 教授 (40003785)
キーワードNAG(NAGase) / 尿 / 尿蛋白 / JDS-PAGE / 腎臓病 / ネコ / イヌ
研究概要

今年度の研究目的は、イヌとネコの泌尿器病症例に経時的な尿中NAG排泄のモニターと尿蛋白のSDS-PAGE分析を実施して、これらの指標の動態と病勢との関連性を検討することであり、以下のような研究成果が得られた。
(1)ネコとイヌの慢性腎不全症:代償期から尿毒症期の慢性腎不全症例について尿中NAG指数を調べたところ、正常範囲内から高値を示すものまで様々であった。総じて尿中NAG指数は、代償期の症例では尿毒症期や非代償期のものに比べて高い傾向を示した。また経時的にモニターしたものではBUNや血清クレアチニン濃度の高度の上昇を認める前段階で高値を示すものが多かった。SDS-PAGEによる尿蛋白質の分析では、レチノール結合蛋白などの低分子蛋白の出現が観察された。
(2)ネコの下部尿路疾患:尿中NAG指数は正常範囲かその上限を示した。SDS-PAGEによる分析では、血清と同様のパターンが観察され、これらの尿中にはスティック法で尿蛋白のほかに潜血反応が認められた。したがって、これらの症例で観察された尿の異常所見は腎後性の下部尿路からの感染に伴う出血であると考えられた。
(3)イヌの腎盂腎炎:膀胱炎などの下部尿路感染症から腎盂腎炎を併発した例では、尿中NAG指数の著しい高値が観察された。これらの症例の尿中には潜血反応が認められ、SDS-PAGEによる分析では血清パターンが認められた。
(4)イヌの糖尿病症例:血糖コントロールが安定せず尿糖が多量に出現していた時期に尿中NAG指数は高値を示した。このことから高濃度の尿糖が尿細管上皮に傷害を与えていることが推測された
(5)イヌの子宮蓄膿症:本症例では、尿中NAG指数が高値を示すものと正常範囲のものとに分かれた。高値を示したものでは、治療のために実施された卵巣・子宮全摘出術後にBUNならびに血清クレアチニン濃度が急増して急性腎不全に陥ったものが観察された。したがって、子宮蓄膿症の症例における尿中NAG指数のモニタリングは、予後を判定する上で重要であると思われた。
以上の結果がら、尿中NAG指数と尿蛋白のSDS-PAGEによる分析の組み合わせは、イヌとネコの泌尿器病の診断ならびにモニターとして有効であることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Reeko Sato: "Function and Clinical appiication of Factoferrin in small animals"Small Animal Clinic. 119. 12-21 (2000)

  • [文献書誌] Jun Sato et. al.: "Pituitary chromophobe carcinoma with a low level serum gonadotropin and anaspermatogenesis in a dog"J. Vet. Med. Sci. 63. 183-185 (2001)

  • [文献書誌] Reeko Sato et. al.: "clinical availability of urinary N-acetyl-B-D glucosaminidase index in dogs with urinary diseases"J. Vet. Med. Sci. 64(in press). (2002)

  • [文献書誌] Reeko Sato et. al.: "Urinary excretion of N-acetyl-B-D-glucosaminidase and its isoengymes in cats with urinary disease"J. Vet. Med. Sci. 64(in press). (2002)

  • [文献書誌] Jun Yasuda et. al.: "Idiopathic thrombocgtopenia in Japanease Black cattle"J. Vet. Med. Sci. 64. 87-89 (2002)

  • [文献書誌] Jun Sato et. al.: "High levels of serum alkaline phosphatase activities and its isoengymes in canine cases of pygmetra"J. Vet. Med. Assoc. (in press). (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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