研究分担者 |
望月 学 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90261958)
西村 亮平 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (80172708)
佐々木 伸雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60107414)
松永 悟 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (60282703)
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研究概要 |
1)撮像方法の確立 東京大学大学院農学生命科学研究科附属家畜病院で使用している核磁気共鳴画像診断装置(以下MRI)(Hitachi,MRP-AIRIS,0.3T)で小動物の脳を撮像する際の最適条件を検討した。通常のMRI検査で用いられるT1強調像,T2強調像の他に、病変の検出力に優れているとされるプロトン密度強調像、FLAIR像について検討した結果、本装置ではFLAIR像がより病変検出力に優れていた。また、ヒトで脳実質の高いコントラストが得られることが報告されているSTIR法に関しては、本装置の磁場強度が低いため、診断に有用な画像は得られなかった。したがって、本研究における基本撮像方法としては,T1強調像,T2強調像に加えFLAIR像を使用することとした。いっぽう,造影MRIではヒトと比ベガドリニウム製剤による増強効果が低い傾向が認められたため、比較的高用量の0.3〜0.4nmol/kgを使用することとした。 2)犬および猫の自然発症脳疾患のMRIによる診断 今年度は脳疾患が疑われて来院した犬、猫の約200症例についてMRI検査を行った。てんかん様発作を主訴とする症例では、MRI検査上異常所見を認めない真性てんかん、脳腫瘍、脳室拡大など様々な画像所見が得られた。今後同時に行っている脳脊髄液検査結果等と合わせて詳しい解析を行う予定である。水頭症の症例では、MRI画像で側脳室前角のrounding、第3脳室の拡大などヒトで脳圧亢進の指標とされている所見が動物でも同様に認められた。今後は脳室の形状についてさらに詳細な解析を加える予定である。脳炎と診断された症例については、犬ではイヌジステンパーウィルス(CDV)による脳炎が疑われる症例が数多く認められた。これらの症例のMRI像は非常に多岐にわたり、CDV脳炎に特異的な所見は得られなかった.しかしながら、病期や症状とMRI所見との間には関連が認められ、今後、MRI検査所見をCDV脳炎の病期診断や予後判定に使用できる可能性がある。
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