犬アトピー性皮膚炎をモデルとしたサイトカインによる治療法の開発

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12833005
• 研究機関: 東京農工大学
• 研究代表者: 岩崎 利郎 東京農工大学, 農学部 (50262754)
• 研究分担者: 近藤 直実 岐阜大学, 医学部, 教授 (50124714)
• キーワード: アトピー性皮膚炎 / 犬 / インターフェロンγ / サイトカイン

研究概要

アトピー性皮膚炎はヒトにおける難治性で重要な皮膚アレルギー疾患であるとともに、動物とくに犬では発生頻度が高く、ヒトと同様に難治性であり、多くの臨床獣医師は治療に難渋している。犬とヒトのアトピ一性皮膚炎は遺伝すること、抗原特異的IgEが上昇すること、慢性に経過し苔癬化病変を示すことなど類似している側面が多くみられ、犬のアトピー性皮膚炎の治療が成功すると、他の動物モデルとは異なり、ヒトのアトピー性皮膚炎の治療に直結するものと考えられる。今回の研究では、犬のアトピー性皮膚炎における末梢血中サイトカインのプロフィールがヒトやマウスと同様にTh2型に傾き、とくにインターフェロンγの不足によるTh2型への傾きがあることが明らかになり、犬のアトピーはヒトのそれと免疫学的にも類似であることが再確認された。そのような条件下で、アトピー性皮膚炎の犬10頭にリコンビナント・犬インターフェロンγを週に2回投与し、投与前と投与2週間後の症状、サイトカインプロフィール、総IgE量を比較検討したところ、インターフェロンの投与により、臨床症状は改善し、症状の改善例では末梢血サイトカインプロフィールがTh2型からTh1型へシフトしていることがわかった。また、総IgE量も投与後には著しく減少し、症状の改善はインターフェロンγ投与によるサイトカインプロフィールの変化、その結果としてのIgEの産生低下が関与している可能性が推測された。

研究成果

• [文献書誌] Park, ST, et al.: "Successful Treatment of Two Dogs with Allergic Dermatitis by Anti-Allergic Peptides(MS-antigen^<TM>)"J. Vet.Med.Sci.. 64・1. 63-65 (2002)
• [文献書誌] Niimi Y, et al.: "Breed Differences in Allele Frequency of the Dopamine Receptor D4 Gene in Dogs."The Journal of Heredity. 92・5. (2001)
• [文献書誌] Yamasaki H, et al.: "Exercise-Induced Superficial Digital Flexor Tendon Hyperthermia and the Effect of Cooling Sheets on Thoroughbreds."J.Equine Sci.. 12・3. (2001)
• [文献書誌] Sekiguchi M, et al.: "Major conformational epitopes recognized by pemphigus antibodies map to the N-terminal adhesive region of desmogleins."J.Immunol.. 167. 5439-5448 (2001)
• [文献書誌] Park, SJ, et al.: "Comparison of response to immunotherapy by intradermal skin test and antigen-specific IgE In canine atopy."J.Vet.Med.Sci.. 983-988 (2000)
• [文献書誌] Park, SJ, et al.: "Differential expression of mRNA for IL-2, IFN-gamma, IL-4 and IL-10 in peripheral blood mononuclear cells (PBMC) from patients with canine atopy."Vet.Dermatol.. 11. 33 (2000)