研究概要 |
本年度は犬の腎移植における、急性拒絶反応の早期診断法について血行動態面から検討すると同時に、腎移植後の免疫反応抑制療法におけるT細胞活性の指標の一つとして、リンパ球幼弱化反応の至適条件の検討を行った。 1)ビーグル成犬を用いて腎移植を行い、とくに術中、術後の脳神経障害を防止し、血圧、血液ガスなど血行動態を把握するため、多項目監視装置(日本光電ベッドサイドモニタBSM-9510)を用いた観察を行った。免疫抑制剤の投与はこれまでの実験により最も優れていると考えられる低用量のCsA,Mz,Prdによる3剤投与とした。 2)術後は、通常の腎機能の検査だけでなくパワードップラ法による血行動態検査を定期的に実施して、拒絶反応を監視した。 3)細胞活性の指標としてとして正常犬末梢血リンパ球を用い、リンパ球幼弱化反応における細胞濃度、培養日数、mitogenの濃度について各種条件の検討を行った。 その結果、 1)パワードップラ法による血液領域率(BFAR)は急性拒絶反応時、S-Crの上昇に先駆けて変化し、S-Crでは検出不能な腎灌流状態の微小変化を検出できた。また血流サインの質的観察により腎灌流の悪化の過程が視覚的に評価することができた。 2)正常犬のリンパ球幼弱化反応における細胞濃度、培養日数、mitogenの濃度については、概ね至適条件を決定することができた。
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