| 研究概要 |
本研究では、今までに得られた、C3H/HeJおよびC57BL/6マウスでのダイオキシンによる継世代的影響を確認するために、別の系統であるCB17マウスを用いて、ダイオキシン曝露後の子孫における致死、奇形などの形態学的異常、仮死等の機能異常、被曝個体の生殖行動、および生殖器への影響を調べた。
CB.17雄マウスにダイオキシン(2,3,7,8-Tetrachlorodibenzo-p-dioxin,TCDD)を0.1μg/g体重を経口単回投与し、ダイオキシン専用バイオケミカルハザード安全飼育装置内で飼育した。一週間の清浄化期間(投与ダイオキシンの無処置マウス雌への直接曝露を避ける)の後、無処置の健康な雌マウスと交配した。対照群はダイオキシンの希釈溶媒であるコーンオイルを雄マウスにダイオキシン投与群と同経路(経口)にて投与し、無処置の雌マウスと交配した。交配翌日に膣栓の確認を以て妊娠0日とし、ダイオキシン投与群および対照群ともに妊娠18日目に帝王切開を行い、F_1での流死産(早期胎芽死亡、胎仔死亡)、形態的発生異常を検出した。また、胎仔を人工蘇生し、蘇生が可能かどうかを調べた後、内部臓器の形態学的異常を調べた。
その結果、C3H/HeJとC57BL/6マウスを用いた実験結果と同様に、ダイオキシン投与群では、着床率が76.4%と対照群の93.7%に比べて低く認められた。また、仮死の発生率では37.3%と、対照群の3.92%より高く観察された。さらに奇形の発生では、現在有意差はないものの、対照群に比べて、質の異なった奇形(短尾、欠指、曲尾等対照群では認められない奇形)の発生が認められCB.17マウスでもC3H/HeJとC57BL/6マウスと同様なダイオキシンの影響が観察された。観察個体数を増やすとともに、反復配列遺伝子であるPc-3を指標にして次世代での遺伝子変異の検出を試みている。
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