研究概要 |
環境汚染物質として現在注目されているコプラナ-PCBsは、生体内では肝臓障害を初めとする種々の臓器に対する障害、内分泌障害、免疫障害、催奇形性、発ガン性などの影響が見られるという。本研究ではコプラナ-PCBsについて次世代マウスへの影響を解析している。特に本研究では、毒性試験法のモデル動物として大腸菌遺伝子の一部(lacZ;b-galactosidase活性を示す構造遺伝子)をマウスにトランスジェニックしたMuta-Mouse用い、母体経由でコプラナ-PCBsに暴露された胎子の催奇形性と胎子における遺伝子突然変異を解析している。 これまで妊娠母体にコプラナ-PCBsとして3,3′,4,4′5,-pentachlorobiphenyl(PCB126)(TEF:0.1)を3μg/kg/2mlを妊娠0日目より妊娠18日目まで経口投与し、胎齢18日目の胎子を取り出して調べているが、雄外生殖器の奇形の他は、外表奇形は観察されていない。現在、これら胎子の肝臓や妊娠末期の胎盤、および母体の肝臓からDNAを抽出し、遺伝子突然変異について解析中である。 今後の研究予定は、PCBs暴露にともなう次世代への影響として、1)PCBsを投与した雌マウス卵巣より成熟卵を取り出し、正常マウス精子と培養液中で受精させ、受精能と第一分裂を確認する。2)PCBsを投与した雄マウス精巣上体より成熟精子を取り出し、奇形率、活動率を観察する。また、正常マウス卵子と培養液中での受精させ、受精能と第一分裂を確認する。残りの精子はDNAを抽出し、1)と同様にコプラナ-PCBsの精子遺伝子への影響を評価する。
|