研究概要 |
環境汚染物質として現在注目されているコプラナーPCBsについて次世代マウスへの影響について調べた。本研究では、毒性試験法のモデル動物として大腸菌遺伝子の一部(lacZ;β-galactosidase 活性を示す構造遺伝子)をマウスにトランスジェニックしたMuta-Mouse用い、母体経由でコプラナーPCBsに暴露された胎子の催奇形性と胎子における遺伝子突然変異を解析した。 母体にPCB126を125μg/kg、250μg/kg,500μg/kgを妊娠10日目に経口投与し、胎齢18日目の胎子を取り出し観察した。 生存胎子数は、PCB投与群(250μg/Kgおよび、500μg/Kg)において、対照群のそれより低い値を示した。胎盤重量は、PCB投与群(250μ9/Kgおよび、500μg/Kg)では対照群のそれに比べて有意に小さい値を示した。外表奇形は、対照群と同様にPCB126投与群の各群のにおいても観察されなかった。肛門生殖結節間距離は、PCB投与群(250μg/Kgおよび、500μg/Kg)では雄胎子において対照群のそれに比べて有意に小さい値を示した。雌胎子の肛門生殖結節間距離についてはPCB126投与群と対照群との間に差は認められなかった。また、これらの胎子から抽出したDNAの遺伝子突然変異頻度は、対照群のそれとほぼ同レベルであった。 ひきつづき母体経由でPCBsに曝露を受けた次世代雄マウス精子の奇形率、活動率、精子DNA遺伝子突然変異頻度について評価している。そのため予備実験として精子の採取、保存法の基礎実験を行い、ラットを用いた基礎データについては論文として発表 (Reproduction,2001,Vol.122:463-467)した。
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