研究課題/領域番号 |
12836016
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
池田 輝雄 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (60151297)
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研究分担者 |
森田 英利 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (70257294)
柏崎 直己 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (90298232)
代田 欣二 麻布大学, 生物科学総合研究所, 教授 (70147974)
猪股 智夫 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (10147978)
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キーワード | PCBs / MDR1 / LLC-PK1 / KB-3 / P-glycoprotein / Drag transport |
研究概要 |
ブタ腎由来LLC-PK1培養細胞にヒトMDR1遺伝子をトランスフェクトし、発現クローンをクローニングした。得られたクローンは頂側膜側にP-糖タンパク質を発現したため単層細胞層として培養し、側底膜側から頂側膜側への輸送測定系を用いて、ステロイドホルモンの輸送を測定した結果、基質の分子量300-360の間にP-糖タンパク質の基質になる限界があることが判明した。したがって、コプラナーPCBsの異性体の中にはP-糖タンパク質の基質になるものとならないものがあることが示唆された。コプラナーPCBsの異性体のひとつであるPCB-77はこの単層培養系では輸送されなかった。すなわち、PCB-77は細胞に高濃度に蓄積されやすいことが示された。Disk Wellを用いて変異MDR1遺伝子導入KB-3(ヒト口腔癌細胞株)細胞の各種化合物への薬剤耐性と細胞内蓄積実験において、基質分子量とMDR1の61番目アミノ酸残基側鎖の大きさの間に逆の相関があった。MDR1の阻害剤であるサイクロスポリンAやベラパミルはvinblastineやcorchicineの排出を阻害し細胞内蓄積を増加させたが、PCB-77およびPCB-126ともこの蓄積増加効果を示した。したがって、コプラナーPCBsはMDR1の阻害剤として働くことが示された。 LLC-PK1への変異MDR1遺伝子の導入により変異P-糖タンパク質発現細胞をクローニングした。これらの変異P-糖タンパク質発現細胞でもKB-3と同様の基質への親和性の変化を示す結果を得た。しかしながら、PCB126およびPCB-77ともにヒトP-糖タンパク質の輸送基質にならないことが確認された。コプラナーPCBsの毒性発現機構にはP-糖タンパク質による毒物の排泄あるいは代謝輸送の障害に起因するものがあることが今回の結果より示唆された。今後は、コプラナーPCBsを輸送基質とする薬物ポンシプのスクリーニングのためP-糖タンパク質以外のABCタンパク質などを検討する必要がある。
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