研究課題
本年度は、公立中学校2年に在籍する一般少年(コントロール)と、非行をして警察に検挙・補導された中学校2年に在籍する非行少年(ケース)を対象にして行った質問紙調査について、現時点で回収された調査票のデータを用いて、非行群と一般群の回答を予備的に比較した。調査項目は、家庭、友人、地域、学校、回答者個人という5つの領域に渡っており、調査対象地は、非行群・一般群ともに東京都と大阪府である。結果は、非行群では一般群と比べ、母親との情緒的関係が希薄であり、父親からの暴力を受けているなど、家庭により多くの問題を抱えている。また、非行群では学校での成績も悪く、学校の授業への興味も薄いうえ、大学進学の希望を持つ者の割合も一般群に比べ少ない。友人・地域領域については、非行群は一般群と比較して、友達の数が多いが、非行・逸脱行動をする友人の割合も高く、反対に向社会的な友人の割合が低い。地域社会のなかでは、親が近所の人と親しい付き合いをしている少年と、子どもを対象とする地域の活動があると回答している少年の割合が低い。個人の性格に関しては、非行群では一般群よりも衝動性、攻撃性、興奮追及、反抗性が高く、自己効力感が低い。また、他者の会話に容易に参加できるが、何か失敗したときにすぐに謝罪することができない傾向があることが示された。今後は、非行群のデータをすべて収集したのちに最終的な分析を行い、少年非行のリスク・プロテクティブファクタとして重要度が高いものを統計的に明らかにする予定である。
すべて その他
すべて 文献書誌 (6件)