1.組換え型プロクルシフェリンの結晶化と改造クルシフェリンの評価:プログリシニンの立体構造の座標を用いて、プロクルシフェリンのモデルを得た後、電化分布を解析したところ、3量体の中心付近にプラス電荷が集まっていることが分かった。そこで、変異体R319N、R322Nを作成した。また、クルシフェリンの第4可変領域をより長く荷電アミノ酸に富んだダイズグリシニンA1aB1bサブユニットのものと入れ換えた変異体を作成した。これらの変異体は、いずれも大腸菌発現系で野生型よりも優れた発現効率を示した。変異体を精製後、熱安定性を比較したところ、第4可変領域を入れ換えた変異体は、低イオン強度および高イオン強度で野生型よりも優れた安定性を示した。これは、電荷相互作用がプロクルシフェリンの安定性に有利に働いていることを示す。発現効率や安定性が上昇した変異体は、良質の結晶を与える可能性があると考えられることから、現在、結晶化を進めている。今後は、本研究によって得られた知見を基に、発現効率と立体構造ならびに安定性との関係など、今まであまり研究されてこなかった課題について進めることができると考えられる。 2.ダイズグリシニンを高集積するナタネの開発:ダイズグリシニンのナタネでの発現をPCRとウエスタンブロットで確認した個体の育成を進めた。F0世代からF1世代を得て、開花するまでに成長させることができた。今後は、その種子を採取しグリシニンの発現レベルなどを分析する予定である。
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