研究課題/領域番号 |
12839007
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
矢野 浩之 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (80192392)
|
研究分担者 |
井上 誠一 経済産業省, 工業技術院・資源環境技術総合研究所, 主任研究員
森田 慎一 鹿児島県工業技術センター, 木材工業部, 主任研究員
今村 祐嗣 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (70151686)
|
キーワード | タンニン / 成型物 / 再生可能資源 / 耐水性 / 強度特性 / プラスチック |
研究概要 |
ラジアータマツ(Pinus radiata)は短期間で成長する代表的な早生樹で、オセアニアや南米で大規模に植林されており、再生更新が可能な未来型の森林資源として注目されている。これを建材やパルプ原料として用いる際に、樹幹の3〜5%と膨大な量を占める樹皮が問題となる。現在、その多くが焼却・廃棄されているので、有効利用法の開発が早急に求められている。本研究ではその一環としてラジアータマツ樹皮中に重量比で30%以上含まれているタンニンに着目し、縮合反応を利用した成型物製造を試み、その強度性能・耐水性を計測した。 樹皮成型物では、150メッシュパスの樹皮粉末に木粉を重量比で1:1で混合することで、常態での強度性能が向上し、曲げ強度は、40MPaに到達した。しかし、耐水性は、既存の熱硬化性樹脂成型物と比較して十分ではなかった。 一方、樹皮熱水抽出物と木粉を混合して成型物を製造したところ、成型温度が200度を越えると、タンニンの自己縮合に起因すると思われる耐水性の向上が認められた。また、熱水抽出物にさらに重量比で10%の低分子量フェノール樹脂を添加し、これに木粉を1:1の比率で混合した場合は、160℃での熱圧成型で耐水性が著しく向上し、温水浸漬による曲げ強度の低下は36%であった。 以上のことから、高い耐水性を得るには、タンニンの自己縮合だけではまだ不十分であり、それを補うには低分子量フェノール樹脂等の補強剤の添加による付加縮合反応が有効であると思われる。
|