研究概要 |
アカシアマンギウムは東南アジアで大規模に植林されている早生樹である。本年度は、その樹皮に多量の縮合型タンニンが含まれていることに着目して、樹皮の接着剤・成型物原料としての可能性を検討した。 気乾状態の樹皮を外層と内層の2層に分けてWiley Millを用いて粉砕し、500-250,250-125-,125-63,<63(μm)にふるい分け、各々についてメタノールを用いて30℃で抽出を行った。さらに、外皮抽出物に10%ホルムアルデヒドと水を加え、水酸化ナトリウムを用いてpHを4,6,8に調節した後、90℃で攪拌し、ゲル化時間を計測した。続いて、63μm以下の外皮と抽出物を用いて2種類の接着剤を調整し、3層合板を作製した。接着剤を400g/cm^2塗布し、コールドプレス(10kgf/cm^2、60分)後に、ホットプレス(10kgf/cm^2、140℃、5分)を行った。JIS K6851に従って、常態試験(Test1)、耐温水試験(Test2)、煮沸繰り返し試験(Test3)を行い、接着力を評価した。 外皮について各粒径ごとにメタノール抽出(30℃ 外皮:メタノール=1:10 in weight,1h)を行った結果、粒径が63μm以上の場合では、抽出物は30%ほどであった。一方、63μm以下の場合は、抽出物は約50%にまで達した。樹皮とメタノールの割合を1:3,1:5,1:10と変化させても(外皮,30℃,1h)、また、抽出時間を10分〜24時間の範囲で変化させても(外皮:メタノール=1:10,30℃)、抽出量に変化はなかった。このことから樹皮に含まれる抽出物はメタノールに容易に溶け出すことがわかった。外皮抽出物のadjusted stiasny valueはカテキンベースで約95%であった。pHとゲル化時間の関係については、pHが4から8へと高くなると、ゲル化時間は1/6にまで低下した。 3層合板の接着力試験から、アカシアマンギウム樹皮は樹皮粉末とパラホルムアルデヒドを混合するだけで、耐水性に優れた接着剤となることがわかった。さらに、各粒径の外皮と内皮(mc11%)を用い、パラホルムアルデヒドを0,3,5,10%(w/w)の割合で加えて成型物を製造した(圧締条件:80MPa,160℃,20min)。常態では、MOEは3.6〜5.0GPa、MORは23.5〜42.8MPaであった。煮沸1時間後はパラホルムアルデヒドの添加量の差が明瞭に現れ、添加量が3%で厚さ膨潤率および吸水率はそれぞれ約12%および10%であったが、10%で約6%および5%にまで低下した。
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