研究課題/領域番号 |
12839008
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
桑原 正章 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (40035978)
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研究分担者 |
田中 文男 京都大学, 木質科学研究所, 講師 (10109069)
渡辺 隆司 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (80201200)
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キーワード | マンガンペルオキシダーゼ / リグニン分解酵素 / 白色腐朽菌 / ラジカル重合 / ポリグアイアコール / ポリアクリルアミド |
研究概要 |
まず、リグニン分解性担子菌Bjerkandera adustaあるいはPleurotus ostreatusの培養液からリグニン分解酵素であるマンガンペルオキシダーゼ(MnP)を分離・精製し、重合反応に用いた。 MnPは50%アセトン中においてグアイアコールを重合し、ポリグアイアコールを生成した。得られたポリマーの平均分子量はMALDI-TOF-MSを用いて1690と算出された。NMR分析より、グアイアコールはC-CあるいはC-O結合を介して重合していること、ポリマー末端にはビフェニル結合を有したベンゾキノン構造を持つ枝分かれ構造を有していることが明らかになった。また、MnPはグアイアコール以外のフェノール類や芳香族アミンを重合してポリマーを生成することが示された。 次に、この反応をビニル化合物の重合反応に応用し、アクリルアミドからポリアクリルアミドの合成を行った。この重合反応には重合開始剤としてアセチルアセトンの添加が必要であった。ESR分析により、MnPによりアセチルアセトンからカーボンセンターラジカルが生成し、これがアクリルアミドのラジカル付加重合を開始することが明らかになった。得られたポリマーはアカクチックな構造を有していることから、本ポリマーはアクリルアミドの典型的なラジカル重合により生成することが明らかになった。得られたポリマーはガラス転移点を有していることから、熱可塑性ポリマーとして利用可能であることが示唆された。
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