研究概要 |
本年度は、リグニン分解性担子菌Bjerkandera adustaの生産するマンガンペルオキシダーゼ(MnP)および西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)による糖誘導体の重合反応を試みた。 MnPによるグルコースのC1にアグリコンとしてヒドロキノンをもつアルブチンの重合を50%ジオキサン中で行ったところ、35%の収率でメタノールに不溶性のポリマーを得た。^<13>C-NMR分析により、アルブチンポリマーはヒドロキノン部分で重合していることが明らかとなった。また、MALDI-TOF-MSにより、ポリマーの平均分子量は1,200であることが示された。さらに、この反応系にp-クレゾールを共存させたところ60%の収率で共重合体が合成された。^<13>C-NMR分析により、p-クレゾールがヒドロキノンに結合し、この産物が重合して共重合体を与えることが明らかとなり、MALDI-TOF-MSにより平均分子量が1,500であることが示された。 一方、HRPによる反応では、アルブチン自身の重合は認められず、p-クレゾールとの共重合体の生成のみが認められた。このことは、MnPはHRPよりも高いヒドロキラジカル生成能を持つためと考えられる。 さらに、TGA分析により、アルブチンポリマーおよび共重合体の両者ともメチル基や水酸基の分解に起因すると考えられる300℃付近の強い熱遷移点が観察された。しかし、DCS分析においては両ポリマーとも明確なガラス転移点は観察されなかった。
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