研究概要 |
スギ(Cyptomeria japonica)間伐材のMeOH抽出物が広食性の害虫として果菜類や蔬菜類に大きな被害をもたらすウスカワマイマイ(Acusta despesta)の摂食行動を強く抑制することを見いだし、活性成分を(-)-cubebolとスギ特有のセスキテルペノールである(+)-2,7(14),10-bisabolatrien-1-ol-4-one、agatharesinol、sequirin-Cと同定した。本年度はこのうち絶対構造が確定していない(+)-2,7(14),10-bisabolatrien-1-ol-4-oneの絶対構造決定に取り組んだ。 絶対構造が既知の(R)-carvone及び(S)-carvoneを用いて、その立体配置を保持したまま有機合成的手法を用いて、(R)-cryptomerioneおよび(S)-cryptomerioneを調整した。一方、(+)-2,7(14),10-bisabolatrien-1-ol-4-oneの水酸基を水素の置換し、cryptomerioneを調整した。得られたそれぞれの化合物の比旋光度を測定したところ、(R)-carvoneのcryptomerioneの比旋光度と(+)-2,7(14),10-bisabolatrien-1-ol-4-one由来の比旋光度が一致したことから、(+)-2,7(14),10-bisabolatrien-1-ol-4-oneの6位の炭素はR配置であることが明らかとなった。6位と1位の炭素が互いにtransの位置にあることから、1位はS配置と決定された。よって、(+)-2,7(14),10-bisabolatrien-1-ol-4-oneの絶対配置を(1S,6R)-2,7(14),10-bisabolatrien-1-o14-oneと決定した。
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