研究概要 |
スギ(Cryptomeria japonica)間伐材のMeOH抽出物が広食性の害虫として果菜類や蔬菜類に大きな被害をもたらすウスカワマイマイ(Acusta despesta)の摂食行動を強く抑制することを見いだした。活性成分は複数の化合物から構成されており、ヘキサン及び酢酸エチルでそれぞれ抽出できること明らかとした。各種クロマトグラフィーを駆使することによりヘキサン層からそれぞれ単独で活性を示す2つの化合物が得た。各種機器分析の結果、活性化合物を(-)-cubebolとスギ特有のセスキテルペノールである(+)-2,7(14),10-bisabolatrien-1-ol-4-oneと同定した。これらの化合物は濾紙1cm^2当たり120μgならびに80μgでウスカワマイマイの摂食行動90%以上阻害した。 また、酢酸エチル層から、同様に各種クロマトグラフィーを駆使することによりそれぞれ単独で活性を示す2つの化合物を得、その構造をagatharesiolとsequirin-Cと同定した。これらの化合物は濾紙1cm^2当たり30μgならびに40μgでウスカワマイマイの摂食行動を90%以上阻害した。 加えて、(+)-2,7(14),10-bisabolatrien-1-ol-4-oneの絶対構造を有機化学的手法を用いて(1S,6R)-2,7(14),10-bisabolatrien-1-ol-4-oneと決定した。 これらの知見は、スギ間伐材の有効利用に繋がるばかりか、広食性の害虫防除に新たな手法を導入できる可能性を示唆するものと考えられる。
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