研究課題/領域番号 |
12839014
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小林 元太 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (40291512)
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研究分担者 |
高崎 講二 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (30154769)
園元 謙二 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (10154717)
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キーワード | バイオディーゼル / アセトンブタノール発酵 / 焼酎蒸留廃液 / 生ゴミ / Clostridium / 調理用廃油 / 抽出発酵 / 環境 |
研究概要 |
Clostridium saccharoperbutylacetonicum N1-4(ATCC13564)を用いて酵素加水分解処理を行った4種の焼酎蒸留廃液(イモ、ムギ、ソバ、ゴマ)を原料としたアセトン・ブタノール発酵を行った。焼酎蒸留廃液のみでは炭素源が乏しいために古米10gを焼酎蒸留廃液培地に添加し、酵素加水分解処理を行い・アセトン・ブタノール発酵を行なった。イモとソバ焼酎蒸留廃液培地では、それぞれ14.2g/l、11.9g/lのブタノールが生産された。ムギとゴマ焼酎蒸留廃液培地ではブタノールはほとんど生産されなかった。初発グルコース濃度の高低による影響も検討したが、グルコースによる基質阻害はみられず、古米添加のみではブタノールの生産が難しいと思われた。そこで、生ゴミを添加し、同じ条件で酵素処理をした培地にて培養を行った。TYA培地では9.4g/lのブタノール生産であったが、生ゴミを焼酎蒸留廃液に添加することで、ソバ焼酎蒸留廃液培地では11-3g/lのブタノールが生産された。生ゴミ添加培地は12時間目までのグルコース消費速度が速く、生ゴミを添加することにより適応期を短縮することができ、生産性の向上につながることが示唆された。 ブタノールの抽出剤として食用廃油メチルエステル化物(UCOE)をイモ焼酎蒸留廃液と生ごみを混合した培地に添加して抽出発酵を行った。抽出剤を添加しない場合は12.5g/lのブタノールが生産された。UCOEを抽出剤として使用した場合、7.3g/lのブタノールがUCOE層に抽出され、培養液層のブタノール濃度は9.0g/lであった。培養液を用いたUCOEのブタノールヘの分配係数は0.8であり、純粋系の分配係数1.0とほぼ同じであった。生ゴミと焼酎蒸留廃液を培地にしてUCOEで抽出発酵した場合は全ブタノール濃度は16.3g/lとなり、代表的な抽出剤であるオレイルアルコールを抽出剤として用いた場合の16.2g/l、抽出発酵しない場合の12.5g/lに比べて最も高くなった。UCOEは培養液中のブタノールに対する抽出効率はオレイルアルコールとほとんど同じであるが、菌に対する毒性が低いので、ブタノール生産速度、ブタノール収率ともに、オレイルアルコールよりも高い値となった。これらの結果からも、抽出剤としてUCOEを用いることが有用であることが確認された。
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