研究概要 |
前年度までに、サツマイモ澱粉粕を可溶性食物繊維へ転換するための細胞壁溶解酵素を産生する菌を新たに土壌から検索し、不溶性ペクチン質を可溶化するアルカリ性プロトペクチナーゼを生産するバチラス属M4菌を分離した。そのM4粗酵素を用いてサツマイモの澱粉粕の可溶化を行い可溶性食物繊維を作成した。 そこで今年度は可溶化酵素の正体の検索ついて研究を進めた。プロトペクチナーゼは単一酵素ではなく、複合酵素系であるので、澱粉粕に作用して可溶化する実体酵素を探るため、可溶化物をゲル濾過で分画し、還元後加水分解して糖アルコールとして末端糖の同定を行った。その結果、低分子の画分の還元末端はガラクトースで、より高分子の画分の方はラムノースであった。すなわち、澱粉粕多糖成分の中、不溶性ペクチン質のガラクタン部分とラムノガラクツロン酸部分が、それぞれガラクタナーゼとラムノガラクツロナーゼの2種の酵素で切断されて可溶化し、可溶性食物繊維を生成することが明らかとなった。 これらの成果は日本生物工学会誌の欧文誌J.Biosci.Bioeng.2002年1月号に題目(Degradation of Cell Wall Materials from Sweetpotato, Cassava, and Potato by a Bacterial Protopectinase and Terminal Sugar Analysis of the Resulting Solubilized Fractions)として論文発表した。
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