前年度までに、サツマイモ澱粉粕を可溶性食物繊維に転換するために、アルカリ性ペクチナーゼを生産する菌を分離し、その粗酵素液を澱粉粕に作用させ、その可溶化効率と、可溶化された画分の糖分析を行った。そして、ペクチン画分が効率良く可溶化されることが分かった。 そこで、本年は可溶化活性の本体を探るため、粗酵素をカチオン交換クロマトで分画し、可溶化活性と各多糖分解酵素活性との相関を探った。最も強い可溶化活性を示した2つのフラクシションを用いて可溶化した糖成分の糖分析を行ったところ、有効な可溶化酵素はアラビナナーゼと推定された。 また、アラビナナーゼを良く生産する安価な炭素源の検索を行ったところ、アラバン以外に市販水溶性大豆多糖、おから、澱粉粕およびその酵素可溶化画分にアラビナナーゼ誘導活性が見いだされた。特に、澱粉粕可溶化画分を含む培地が最も高いアラビナナーゼ活性を示した。 さらに、動物実験により機能性評価を行った。サツマイモ澱粉粕に本酵素を作用させて可溶化画分と未分解残燈を大量調製し、ラットにコレステロール負荷食餌を2週間与えたときの食物繊維添加効果を調べた。血漿総コレステロール低下作用は酵素処理前の元の澱粉粕の添加群においてのみ有意な差がみられ、酵素処理した場合には、総コレステロール濃度の低下は酵素分解物と残渣ともに認められなかった。しかし、血漿トリグリセリド(中性脂肪)濃度は酵素分解物(可溶性食物繊維)の添加群において有意な低下が認められ、興味深い結果が得られた。 成果の一部は、日本応用糖質科学会14年度大会(50周年記念大会、9月東京)にて発表した。
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