主材となる高温炭粉と天然物由来糊料(アルギン酸ナトリウム、工業用スターチ糊)、生物由来バインダ(イ草、焼酎廃液、ヒノキ樹皮、ニンジン搾りかす、コーヒー抽出かす)、光触媒(二酸化チタンの粉末・ゾル・スラリー)をハイブリッドさせて、高温炭シート、高温炭ボード(ハイブリッドリサイクル材)の試作を行い配合比や製造条件を検討した。1.高温炭の粒子径はボードの作成では焼結時に粒子径を揃えることが重要であった。シートの作成では、0.2mm〜1mm程度の高温炭粒子が混在したものが最も良好なシートの形状を与えた。2.ボード製造の糊料としてはアルギン酸ナトリウム、スターチ糊とも適していたが、スターチ糊はシート製造には不適であった。3.シート製造のバインダとしては、いずれの農工産業廃棄物も有効でおり、特にイ草や樹皮は繊維素として有効で、形状や引っ張り強度に優れていた。土壌中の生分解性を確認した。4.光触媒担持ボードの試作では、二酸化チタン粉末を表面固定するための製造法を開発した。ゾルやスラリーは塗布後、焼結して担持できたが、焼結温度に制限があり、常温乾燥でも光触媒機能を発現するスラリーを塗布したボードがエチレンガス(青果物熟成ガス)の吸着・光分解に優れていた。なお、二酸化チタン粉末担持ボードは最も優れていた。5.光触媒担持シートの試作では、ゾルやスラリーを塗布後、焼結して担持でき、エチレンガスの吸着・光分解はボードとほぼ同様の結果を示した。6.別途、光触媒を有機物基材へ担持させる目的で、ヒドロキシアパタイト皮膜で被覆した光触媒のアルギン酸ゲルへの固定化を行なった。その光触媒能をメチレンブルーで評価したところ光触媒活性が保たれていることがわかった。今後、このアルギン酸ゲル固定光触媒を用いてボード、シートへのハイブリッドを試み、機能評価を行ないたい。
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