研究概要 |
主材となる高温炭粉と天然物由来糊料(アルギン酸ナトリウム),生物由来バインダ(イ草、焼酎廃液),光触媒(二酸化チタンゾル,改質二酸化チタン粉末)をハイブリッドさせた高温炭シート・ボード(ハイブリッドリサイクル材)を試作し製造条件,、特性を検討した。1.前年度に製造した高温炭シート・ボードをさらに高温の200℃で1時間焼成すると,エチレンガス(青果物熟成ガス)の吸着・光分解能は光触媒ゾルの種類によっては20%〜40%向上し改善されたが,シートは脆化し実用上の引っ張り強度が得られなかった。2.常温乾燥で光触媒機能を発現する新規なゾルを2回塗布したシートのエチレンガス吸着・光分解は,1〜2時間で飽和に達し,コントロールよりも約10%高い分解率であった。この吸着・分解挙動は前年度に用いたゾルと同様の結果であった。3.シート製造のバインダとして用いる有機物自身の光分解を抑制するために,アルギン酸ゲル固定化改質光触媒(二酸化チタン表面を水酸アパタイトで被覆)を合成し,高温炭シートへ適用した。改善光触媒はシート表面で一部分散したが固定化された。エチレンガス吸着・光分解能はゾル塗布表面加工シートに比べ低かった。4.光触媒をシート表面に均一に画定化することと成形を容易に行うことを目的として,熱融着性ポリプロピレン不織布で表面加工を施したシートを試作した。シート表面は均一で成形性,引っ張り強度に優れていたが、土壌中の生分解が抑制されることを確認した。6.高電気伝導性の高温炭を用いてボードを作成し電磁波遮蔽効果を評価したが,本研究で用いた材料,製造法ではその効果は認められず今後さらに検討を要する。
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