研究課題/領域番号 |
12871005
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
宮坂 道夫 新潟大学, 医学部, 講師 (30282619)
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研究分担者 |
櫻井 浩治 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (80018712)
佐山 光子 新潟大学, 医学部, 教授 (50149184)
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キーワード | 生命倫理 / 物語論 / 方法論 / 生殖医療 / 終末期医療 |
研究概要 |
本年度は、研究計画における「(2)実例に基づく実証研究の段階」として、(A)生殖医療に関する事例および(B)死とその過程に関する事例の二つの領域の事例について、法政策の作成過程に関わる専門家、メディア報道、患者関係者等の言説を収集した。その手法として、当事者の「語り」が収録されている文献(審議会等の議事録、裁判記録、一般雑誌の記事・公開されている日記、手記等)を収集する文献学的方法と、臨床医や患者団体等を通して、当事者から直接話を聞き取る社会調査的方法という、二つの方法を実施した。また、これらの言説を系統的に整理することもあわせて行い、論理的枠組みとして、正義論、とくに意思決定に関わる人にとっての「理解可能性」を主軸にして論理的分析を進めた。具体的には、どのような論点・論拠が提示されているか、経験的事実がどのように評価されているか、医療処置によってもたらされうる事態(効用や危害)がどのように予測されているか、等の観点から比較分析を行った。その結果、従来かなり限定された議論がなされてきた生命倫理学における正義論に、より拡大された論理的枠組みを与えることにより、先端医療をめぐる倫理的問題をより位置づけやすくしうる可能性が示唆された。第一に、アメリカ生命倫理学における正義論が「配分の正義」に限定されていることにより、新しい医療技術のもたらす倫理的問題が扱いにくくなっているということ、第二に、これらの倫理的問題を<資源化の正義>というカテゴリーで扱いうる可能性と、その方法論として、ロールズの正義論、および共同体主義、討議倫理など、最近提出されている正義論に関連した枠組みを検証し、医療という文脈の固有性を踏まえながら、正義論の問題と位置づけられてきた諸事例や、それをめぐる議論を詳しく検討しなければならないという課題が明確になった。
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