今年度は以下のような調査研究を実施した。 1、今までに行っていた中部、北陸、関西の「親鸞聖人絵伝」の実地調査結果の写真資料の作成と整理。 2、「壬生地蔵縁起絵巻」の調査。 (1)全巻とおしての写真撮影と部分の写真撮影。 (2)その整理と研究。制作時期の特定。国会図書館などの資料による壬生寺の研究。 (3)「親鸞聖人絵伝」のうち真宗寺本系作例群との比較。 3、15世紀、とくに文明期の歴史資料の収集と研究 以上のような調査研究をとおして、文明期に縁起絵や高僧伝絵の制作を活発におこなっていたとみられる工房の存在を想定するに至っている。文明期といえば、すでに土佐光信とその周辺絵師が多彩な活動を繰り広げていた時期にあたるが、その同じ時期に、土佐派とは区別される画風をもって活動していた工房を確認することによって、文明期画壇を多角的に捉える手がかりを得た。
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