本研究は、学校心理学的な観点から、学級経営に介入する手法を開発し、それを評価することを目的としている。 初年度は、学級介入方法の具体化と評価視点の探索的検討を行った。介入とその分析方法について、おもに学校場面のフィールドワーク関係の国内外の最新の文献資料を集めた。学級経営に関する介入の研究は、ほとんど見つからず、教師の指導態度を受容的にしたり、励ましや賞賛を意図的に増やすといった実践が数例見つかった。継続的に実施してきている教師用RCRTを実施した。 本年度は、介入の方向性、経過面接の構造化をより確かなものにすることを目標として取り組んだ。継続的に、教師用RCRTの測定を行なった。時期は、夏休み期間、冬休み期間とし、1学期の実践をもとにしながら2学期の実践の計画をたてること、2学期の実践を振り返りながら3学期の生徒へのかかわりを考えることができるように測定を設定した。また、結果については、簡潔な文書と分かりやすい図表にて返却しながら、電子メールによる解説も加えた。 2回の測定に参加できたケースは3ケースと少なかったが、継続的な測定でより意図的な取り組みが可能になること、経過面接が深化することが明らかになった。反面、調査の時間がかかったり、調査をくり返すことで飽きてしまうこと、調査中の内省過程が重苦しくなるという感想もあり、実施方法の改善も課題になった。次年度は、継続して測定を行いながら、これまでのデータを総括する予定である。
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