本研究は、学校心理学的な観点から、学級経営に介入する手法を開発し、それを評価することを目的としている。初年度は、学級介入方法の具体化と評価視点の探索的検討を、次年度は、介入の方向性、経過面接の構造化をより確かなものにするために、継続的に教師用RCRTの測定を行なった。 本年度は、5人の教師とその担当学級を対象にした介入を行い、その成果を検討した。個別の関わりに加え、小グループを形成することによって、相互に理解し助言しあえる自助グループの形成もねらいとした。対象の教師には、6月、7月、9月、12月、2月の計5回の研修に継続的に出席してもらい、それぞれの教師用RCRTの結果を用いながら参加者の学級経営の事例検討、自己達成予言的に学級経営の具体的方針の提出、数人の児童に焦点を当てた意図的な関わりの報告、親近感についての調査の実施などが具体的な実施内容である。 参加した教師は、教師用RCRTの結果の読み取りができるようになり、またその資料を元にしながら、学級経営の様子を他の教員に語ることができた。このように自らの学級経営の状況を客観化するなかで、意図的な関わりの対象になる児童の特定、関わりの内容についての設定をすることができた。短期の目標とやや中期の目標を立て、またその目標をグループのメンバーに報告するなかで、データをもとにした実施可能な学級経営の実践につながった。別の評価の視点としては、児童による親近感調査を行い、その結果に基づく児童への関わりの修正もできた。継続的な研修の中で、他の教師からの共感や助言の機会を持ち、また自分の実践を他の教師に理解してもらえるように表現できるようになった。これらのことは、学級経営に介入する手法として、継続的な小グループセッションで教師用RCRTを用いることが有効であることを確認した。
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