平成12年度においては、研究実施計画どおり、早稲田大学文学部発達心理学研究室にビデオシステムを設置し、1〜2歳児とその母親に対し研究への参加をもとめた。現在(平成13年2月9日)の時点では、本研究の参加者として登録された母子は60組であり、研究参加の同意書を得て、すでに研究に参加した母子は47組である。その内、21組が3か月間隔で行われる縦断的研究への参加を希望しており、この3月には最初の縦断研究終了者が出る予定である。観察対象にしている月齢は、9か月、12か月、15か月、18か月、21か月、24か月、27か月、30か月である。観察場面は、1.鳥の鳴き声を母親が無視する場面(約30秒)、2.母親も鳥の鳴き声に気づき子どもと一緒に探す場面(約1分間)、3.鳴かなくなった鳥を母親が子どもと一緒に探す場面(約2分間)の3種類である。これらの3場面で、子どもが母親と鳥の鳴き声をどのようにジョイント・アテンション(共有注意)しようとするかがビデオ記録され、訓練された複数のコーダーによって行動のコーディングが行われている。本研究で使用されているコードは、この分野で定評のあるAdamson(1999)の状態コードを参考にして、上記の場面での使用が可能なように筆者によって新たに考案されたものである。3場面とも6種類のコードが使用されており、子どもが鳥に無関心な状態から、シンボルを利用して鳥を母親と共有しようとする状態までをカバーしている。尚、聴覚的刺激と視覚的刺激を比較するため、この聴覚的ジョイント・アテンションの実験場面と同じ振る舞いを母親にもとめている視覚的ジョイント・アテンション実験も同時に行なってきている。 平成13年度も計画どおり引き続き実験を継続し、データの収集と分析に努めたい。
|