更年期女性への質問紙調査に先立ち、更年期女性に対する保健福祉行政や更年期医療の現状を調査した。調査は、資料収集および更年期医療や保健福祉行政への従事者にインタビューという形式で行った。医療現場では、単にホルモン補充療法という対処療法だけでは不十分で、じっくり時間をかけたメンタル・ケアが必要という認識はあるものの、人的資源確保の問題や時間的・経済的制約上、十分なケアができないというジレンマを抱えている。保健福祉行政としても、高齢者政策や母子政策に対する優先度が高く、更年期女性への支援策は非常に少ない。 一方で更年期女性を含む少数の成人男女に、更年期に対する知識や関心、イメージについてインタビューを行った。その結果、更年期に対する正確な知識の不足、関心の低さ、負のイメージを持っているという傾向を確認した。当事者の更年期女性は、更年期への関心はあるものの、知識不足・負のイメージに関しては他集団と大差なかった。 医療・行政からの支援が十分に得られない現状で、実際に更年期女性はどのような更年期を過ごし、どのように適応しているのか、また適応の程度を決める要因は何かという問題を、更年期女性への質問票による社会調査を通して明らかにしようと試みている。質問票は、更年期症状の程度や、更年期への適応度の指標を導入し、生活ストレスや、社会的ネットワークとサポートの観点から分析が行えるように設計している。調査対象者は札幌市在住の45-55歳の女性とし、選挙人名簿から2段無作為抽出により600名抽出した。調査法は、郵送法による自記式調査である。現在、調査票の発送の段階で、今後は回収・集計・分析に入っていく。
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