コミック・アニメ文化は、現代日本の日常生活に浸透しているという点だけではなく、世界的に注目されて日本のイメージを形成しているという点において、また、日本の映像メディア産業のビジネス・チャンスをも創り出しているという点においても、研究に値する。本研究は、このコミック・アニメ文化消費の先端的な場であると共に、文化生産の現場ともなっているコミック同人誌活動ならびにコミック同人誌即売会について実証的研究を行なうものである。具体的には質問紙郵送調査法によるコミック同人誌活動/即売会の実態調査と、聞き取り調査によるエスノグラフィー的な研究を行なう。 本年度は、3年計画の第1年目として、以下の事項を行なった。 (1)文献調査 (2)コミック同人誌関係者ならびにコミック同人誌に詳しい研究者への聞き取りによる詳細な調査方針の設定 (3)コミック同人誌即売会(コミック・マーケット58、59)の観察 (4)郵送調査の質問紙作成、サンプル抽出、質問紙発送、質問紙回収、集計作業(一部) (5)聞き取り調査(テープ/MDを郵送し吹き込んでもらうという方法による)の計画と一部作業開始 (1)〜(4)までは計画通りであり、(5)については次年度以降に計画されていた作業の一部前倒しになっている。本年度は情報収集作業が中心の年度であり、データの分析には到っていないが(現在、予定どおり集計作業を進めている)、質問紙の回収率が予想を上回る高率であるなど、研究は順調に進展しているといえる。また、テープ郵送調査についても、かなり協力的な反応を得ることができており、今後、順調に会話サンプルの収集が進ものと期待される。
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