今年度までに行われた調査・研究では、次のことが考察された。成人のデータでは、余暇行動をマーケットベースで捉えたが、調査対象が若年層のため、被説明変数である余暇行動を「遊び」として捉えなければならない。現在、日本には「成人の余暇概念」に相当する「子供の遊びの概念」の尺度が存在しないため、尺度の妥当性の検証が困難である。我々は「子供の遊びの概念」をカイヨワの遊びの類型論を参考にして改善した。平成12年度までに改善された中学生用の余暇行動と逸脱行動に関する調査項目及び先行研究から、現在の項目に関して、共分散構造をより現実を描写するものにする為に、次の諸点でさらに改良する必要があると判断された。 (1)逸脱行動の計量的定義 (十分な分散が得られるような逸脱行動の評価が必要である) (2)被説明変数としての余暇行動の選択 (遊びの類型化について見直す必要がある) (3)子供達の生活全般を評価できる尺度の追加 (子供達の生活の質を評価できるような尺度が必要である) (4)学業成績や家庭の状況を把握できる変数の追加 (たとえば、教員による評価を変数に加える試みが求められる) (5)調査票のレイアウトの改善 (個人のプライバシーを確実に確保できるレイアウトでなければならない) また、これまでに得られたデータ及び先行研究などから、小学生は日本語の程度表現に関する理解度が低いため得られたデータの信頼度に問題がある可能性がある。このため、日本語の表現を改善する必要がある。以上の諸点に留意しながら、来年度実施予定の再調査では、共分散構造モデルの再構築を含め、これまで我々が行ってきた成人被験者のデータと比較し得る形で分析を試みたい。
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