本年度は、昨年度の研究計画であったアカデミック・ランキングの理論と方法論に関する日本および米国の調査研究の実施についで、欧州の大学評価の現状と関連研究の動向についての調査を中心に実施した。欧州諸国のうち大学評価において先進的なイギリス(ロンドン大学教育研究所)、オランダ(オランダ大学教育協会)、フランス(国際大学協会)、ドイツ(カッセル大学、ゲッチンゲン大学)等の専門家を訪ねて知見を交換し、情報を収集するとともに、国内の中央教育審議会、大学評価学位授与機構、大学基準協会等の動向を分析した。またマスメディアのランキングについては、日本、米国、欧州、アジア諸国の情報を収集し、分析をおこなった。 以上の調査分析から、以下の知見が得られた。 1.マスメディアや評価機関のランキングによる大学評価は、たんに多彩にして多数の大学を有する米国のみでなく、欧州、アジアにおいてもますます盛んにおこなわれるようになっており、その影響力は無視しがたいものとなっている。 2.米国ではメディアによるランキングは高等教育制度の大規模性と多様性から由来するが、欧州においては大学が同一的水準で差異がすくなくても盛んにおこなわれる傾向がある。 3.メディアによるランキングの多くは、科学的な実証性と厳密な方法論にもとずくアカデミック・ランキングの手法を一部とりいれ、信頼性を確保しようという傾向が認められる。 4.アカデミック・ランキングは米国のみならず英国、ドイツ等でも学問的研究の市民権を獲得しつつある。 最終年の次年度において包括的な最終報告にまとめる予定である。
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