平成13年度においては、これまで継続してきた済州島から他所(平成13年度においては、朝鮮半島部と北部九州島嶼部)に移動した人々が、済州島あるいは母村にどのように関わっているか、そしてそれをどのように考えているかについての調査とともに、特定のムラ(旧大浦里)の方における、(1)移動していった人々との関わり、(2)移動の歴史とそれについての現地の人々のよる解釈、(3)ムラの人々の日常的な人間関係、(4)ムラ間の人間関係の作り方、(5)ムラのシンバン(宗教的職能者)の社会的役割、(6)シンバンと女性によって支えられるムラの世界観、主に以上についての調査をおこなった。 さらに、以上とともに、日本列島内でも、これまで済州島出身者が比較的頻繁に出入り、あるいは関わった、壱岐、対馬等の島嶼部での調査もおこない、済州島人が関わった地域に生活する済州島人以外の人々(この場合、北部九州島嶼部)が、済州島出身者に対してどのようなイメージをもっているのかについても調べた。 また、平成13年度の調査は、主として7月、8月におこなわれた。 平成14年度はこれまでの調査による成果をまとめるとともに、その内容を国際学会、国内学会で発表する予定である。既に平成12年度、13年度に発表(執筆は終了しているが、印刷中のものも含む)した論考をもとにして、総括的な新たな論考も執筆予定である。しかしながら、平成14年度に執筆予定の論考は、単に総括的であるだけでなく、これまでの朝鮮・韓国研究のパラダイムを乗り越えるとともに、文化人類学上の新たな理論的萌芽が期待される。このために、平成14年度は、補足調査とともに、文献研究による、研究方法論についての研鑽が望まれる。
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