今年度の主な研究実績は以下の三つにまとめられる。 1.当初の計画通りウズペキスタンにおいて調査をおこなった。その対象は、タシケントの国立東洋学研究所所蔵の写本類で、リコメンデイションを事前に送り、2000年9月1日から4週間滞在し、おもにナクシュバンディー教団聖者伝写本の調査をおこなった。また、それらのマイクロフィルムを取得し、日本国内では入手不可能な刊本のコピーを多数取得した。マイクロフィルムは申請した全てが許されたわけではなかったので、最も重要な聖者伝1点約100葉を書写した。また、当研究所のウルンバヴェエフ、ババジャーノフ両教授とはこの間しばしばお会いし議論をおこなった。特に、ウズペキスタンのナクシュバンディー教団研究をリードするババジャーノフ氏は、筆者の多くの質問に丁寧に答えてくださったのみならず、当教団研究の資料および当地での研究についての多くの情報を提供してくださった。 2.国内の図書館に所蔵されている刊本の資料をできる限り集めた。これら全てのコピーを整理し、バインドしたが、まだほとんど目を通していない。重点的に集めたのは中央アジアのナクシュバンディー教団関係の資料である。 3.2000年12月論文「中央アジアのテュメンなる地域区分について」を発表した。必ずしも当科研のテーマに即した内容ではないが、ナクシュバンディー教団の文書資料を分析していくための基礎的な研究にはなり得たと思う。また9月におこなったウズペキスタンにおける調査の成果も盛り込まれている。
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