今年度の主な研究実績は以下の三つにまとめられる。 1.当初の計画通りトルコのイスタンブルにおいて調査をおこなった。その対象は、スレイマニイェ図書館、バヤジット図書館、トプカプ・サライ図書館で、トルコ大使館に研究許可を申請し、2001年8月31日から4週間滞在し、おもにナクシュバンディー教団聖者伝写本の調査をおこなった。また、それらのマイクロフィルムを取得し、日本国内では入手不可能な刊本のコピーを多数取得した。マイクロフィルムは申請した全てが許された。また、スレイマニイェ図書館館長ネヴザト・カヤ博士、イスタンブル大学のウメル・マヒル・アルペル博士とはこの聞しばしばお会いし議論をおこなった。お二人は、筆者の多くの質問に丁寧に答えてくださったのみならず、当教団研究の資料および当地での研究についての多くの情報を提供してくださった。 2.国内の図書館に所蔵されている中央アジアのナクシュバンディー教団関係の刊本資料をできる限り集めた。これら全てのコピーを整理し、バインドしたが、まだほとんど目を通していない。 3.2002年3月論文「ナクシュバンディー教団の基礎資料について」を書いた。当科研のテーマに即した内容で、ナクシュバンディー教団の文書資料を分析していくための基礎的な研究になり得たと思う。もちろん2001年9月におこなったイスタンブルにおける調査の成果も盛り込まれている。
|