平成12年度の成果としては、学位論文(河上1979)以後に発表した河上(1986、1993a、1993b、1998、1999a、1999b)を中心に、これまでの研究成果を総点検し、アイロニーの統合理論としての精密化をはかった。特に言語のみならず、小説・演劇・絵画・音楽・社会現象などのアイロニーの現象を説明できる統合的理論の完成度を高めることができた。平成12年度は、とくに日本語と英語のアイロニー表現・アイロニー関係事象の収集と分類・分析、およびアイロニー関連語彙の詳細な研究を実施し、これまでの理論を実証することができた。平成13年度は、新たに中国語と韓国語の調査が加わり、インフォーマントを活用して、日本と英語に関して行なった同じ調査と行ない、資料収集と分析を実施した。12.13年度の研究により日・中・英・韓国語間の「アイロニー関連語彙の構造」について、その普遍性と特異性の特徴づけが可能になってきた。
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