アメリカの政府関係法人に関する資料を研究し、省の一部として位置づけられているもの、独立行政機関として位置づけられているもの、準公的機関として位置づけられているものを明確にし、かかる分類が、どのようなメルクマールによってなされているのか、行政手続法(APA)、情報自由法(FOIA)、プライバシー法、サンシャイン法、連邦不法行為請求権法等の適用がどのようなメルクマールの下で決められているのか、基本権拘束、職員の身分、定員管理、管理方式、人事統制、予算、出資、債権の発行・売買、債務保証、会計検査、新設等の審査、当事者能力と訴訟代理がどのようになっているのかを研究した。 あわせて、わが国の独立行政法人、特殊法人、認可法人、指定法人等に関して、個別に出資、人的統制、補助金、債務保証、業務の性格等を検討して、行政主体性の有無を判断する際のメルクマールについて、アメリカ法を参考にしながら検討した。 これまでの研究の結果、アメリカにおいては、単に合衆国と法人格を異にするということのみで政府関係法人を行政通則法的法律の適用範囲から一律に除外してしまうことはせず、実質的には行政機関と同視しうる政府関係法人を適用範囲に含めていることが明らかになった。そして、わが国においても特殊法人の一部や独立行政法人は、国の行政機関と実質的に同視しうるという結論になった。情報公開法制においては、独立行政法人はすべて、特殊法人、認可法人の一部が政府の一部を構成する法人とされたが、今後は、行政手続法、個人情報保護法との関係についても、政府の一部を構成するとみられる法人に適用範囲を拡張する必要があろう。
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