本研究は、愛知県三河地域に焦点をあてて、水環境の物質循環原則に基いた動学的な都市・地域経済モデルを構築し、当該地域の社会・経済・生態構造を解析するとともに、水環境におけるゼロエミッション化のための政策シナリオの設計と将来予測を行うことにある。 当該地域の主要都市である豊橋市、豊川市、及び蒲郡市の都市計量経済モデルを開発した。昨年度収集したデータに基づき、各種経済変数、都市変数の回帰式を求めた。感度分析を行いながら回帰式の妥当性をチェックし、ファイナルテストを行った。特に、豊橋市、蒲郡市については、昨年度のプロトタイプモデルをより精緻化し、詳細な都市情報を組み込んだモデルに発展させた。例えば、蒲郡市については、観光産業と繊維産業に焦点をあて、各種変数の回帰式を求め分析を行った。 東三河地域の水供給源である、豊川及び豊川用水(工業、農業、水道)のデータを用いて、水供給の回帰式を求めた。豊川流域内にある、豊橋市、豊川市、蒲郡市経済との関係を結びつける推計式を導出した。さらに、これら3都市モデルを結合し、多都市型あるいは多地域型の計量経済モデルのプロトタイプを開発した。今後、地域連携型の複数都市計量モデルへ発展させる予定である。 計量経済モデルの予測シミュレーションを容易に行えるインターフェイスのプロトタイプを開発した。表計算ソフト「エクセル」上で動作し、専門家以外でも容易に、予測とその評価が行える環境の開発を進めた。
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