本年度は、まず、Linux等のいわゆるオープンソース・ソフトウェアについての基本的事象を確認することを主眼においた。具体的には、Linux・FreeBSD・GNUなどの各種オープンソース・ソフトウェアについて、ライセンス形態の違いやネットワーク上のコミュニティの違いについて検討した。現段階では、一部のコア・メンバーのみがOSの基幹部分の変更に参加できるFreeBSDと比較して、Linuxは基本的に誰でもOSの機能改良に発言権を持っている点が、より広い範囲での参加者とユーザにつながったものと思われる。今後、更に、そのコミュニティの形成過程や内部での知識創造過程などを詳細に検討したい。また、特にマイクロソフトに代表されるような有料ソフトウェアとの開発過程についての対比も行いたい。 本年度の調査のもう一つの中心は、、新聞やオンラインニュースなどに登場する、Linux関連のビジネス・モデルについて継続的にデータの収集を行うことであった。Linuxを取り巻く環境は急速に変化しつつあり、この1年間でも日立や東芝のような大手企業が本格的にLinuxをサポートすることを表明するなど、大企業によるLinux関連ビジネスへの算入が本格化している。LiunxのサーバOSとしてのシェアも1〜2年中に10%を越えつつあるという調査結果もあるので、今後は有料OSを基盤としたビジネスとの対比をより明確にしていきたい。 Linuxのビジネス的展開を支える技術的側面については、今年度末に購入したPCがすでに運用の準備段階に入っており、次年度にそれを具体的に運用していくことで、技術的優位性や問題点などの実証的な知見を獲得したい。
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