1964年に石油の自給を達成した中国は、30年後の93年に再び石油純輸入国に転落した。石油消費の爆発的な増大が予想される「需給ギャップ」を埋め合わせるために、中国は石油という戦略資源の確保を国家戦略の一環として位置づけるようになった。 中国における1次エネルギー消費の構成比は、改革開放政策が実施される1978年には石炭・石油・天然ガス・水力発電の順ではそれぞれ70.7、22.6、3.2、3.4%になっていた。これが1986年になれば、75.8、17.2、2.3、4.7%になり、石炭依存度の向上及び石油依存度の低下という傾向が観察される。それにともない、大気汚染などの環境問題が深刻化するのもほぼこの時期に一致している。そこから6年経過した1992年には同上の構成比が74.9、18.0、2.0、5.1%になり、石炭は微減、石油は微増という結果を示している。この15年のタイム・スパンの中で見られる1次エネルギー消費構造の変化は、基本的には石炭依存度の向上と石油依存度の低下というところで妥当であろう。 現在中国の経済規模はおよそ日本の7分の1に相当するが、1次エネルギーの消費量は日本の約2倍弱である。中国のSO2(硫黄酸化物)とCO2(二酸化炭素)の排出量はそれぞれ日本の17.6倍と2.4倍になっている。したがって、中国におけるエネルギー節約には十分の余地がある。アジアの中では現在中国が最大のエネルギー消費国であり、その次は日本、インドと続くが、この3ヶ国だけですでにアジアの1次エネルギーの消費量の77%も占めている。とりわけ、中国は石炭依存度が突出して高く、しかもその8割以上が直接に燃焼されるので、地球温暖化物質としてCO2(二酸化炭素)、地球の酸性化(主に酸性雨)関連物質としてSO2(硫黄酸化物)、NOx(窒素酸化物)の排出量が増加する可能性が大きいであろう。
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