研究概要 |
当研究では,12年度は,まず線織面の中でも特に,カーデザインなどの分野で重要な可展開面と呼ばれる曲面に現れる特異点のジェネリックな分類が行われた.この成果を通して,線織波面と呼ばれる接触幾何学における重要な概念が,特異点を持つ場合に同値であると言う,やや以外な事実が観察され,この観察の下で,接触幾何学における道具建てである,母関数の概念を用いて実際の特異点の分類が実施された.また、古くから知られている、定傾曲線及びベルトラン曲線と言ったいわゆる特殊曲線とある種の線織面の特異点との関連を見いだし,その特異点の分類及び微分幾何学的性質による解釈を与えた.また,線織面とその上に載っているこれらの特殊曲線との関係を線織面のガウス曲率及び平均曲率や測地線,漸近線と言う曲面微分幾何学的な概念を用いて特徴付けを行った. さらに,東京学芸大の竹内助教授との討論により,第2定傾曲線と呼ぶ新たな特殊曲線を定義し,その幾何学的性質についてここでも,ある種の線織面を対応させることにより研究を開始した. 一方,当研究におけるもう一つの主題である,線叢に関してもその特異点の分類を行うきっかけとなる研究が始められ,今後の進展が得られる見込みである. これらの研究では、具体的な例にたいして,それらの図をコンピュータで描くことによってそれらがどのような性質をもっているものかを予測して証明するという手法がとられ、コンピュータ・グラフィックスが研究推進上大変有効であった.
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