研究概要 |
研究代表者は,線叢のなかで重要なものとして,ある曲面の法線からなる線叢(法線叢)の特徴付けとして,3次元空間の余接束への標準的な持ち上げがラグランジュはめ込みとなることが上げられることを示した.その結果として,等積アファイン微分幾何学に現れるアファイン法線叢が(ユークリッド構造の下では)法線叢となることを示した.また,線織面がどのような形に見えるかは,建築デザインの立場から重要な問題である.一般の曲面があらゆる方向から見た場合にどのような特異点が現れるかに関しては,従来,アーノルドの研究があるが線織面の場合はそのいくつかのタイプが現れないことが予想される.研究代表者はこの分類の端緒となる,コンピュータグラフィックスによる実験を始めた.その結果いくつかの例が得られたが,完全な分類を与えることは今後の研究課題である.また,線織面と同様に特殊曲面であり,重要な曲面として,円の1径数表示で与えられる円織面があるが,この曲面の研究は従来からまったくと言って良いほど発展していない.研究代表者はこの円織面の特異点論的性質や微分幾何学的性質の研究を開始した.いまだ,決定的な結果は得られていないが,線織面の場合と比較して様々な類似の性質があることが解ってきている. 佐野は,昨年度,平面曲線の中心アファイン微分幾何学に特異点論を応用することを試み,そこに現れる,中心アファイン縮閉線(2次元の場合の線叢の放物面に対応する曲線)の特異点と中心アファイン不変量との対応を求めた.今年度は空間曲線の中心アファイン微分幾何学に特異点論を応用することを試みある程度の結論を得たが,その詳しい解析は今後の課題である。
|